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非営利団体を応援するビジネス?

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「会社はどのようにして収入を得ているのですか?」

初めてお会いする方に会社紹介をすると、よく最初に質問されます。珍しい業態なのかもしれません。約3年前、私は株式会社バリオーサを起業しました。提供するサービスは、コンサルティングや広報キャンペーンの運営など、世の中によくあるサービスです。ユニークなのは、お客様が全て、環境保護、人権擁護、医療支援、地域づくりなど、さまざまな社会的な課題の解決にとりくむ非営利団体だという点です。非営利団体とのビジネスなんて成り立つのか、そもそも彼らに対する有償のサービス提供がありうるのか、疑問に思われませんか?

ビジネスの世界にいる多くの方は、NPO、NGOと呼ばれる非営利団体の活動は、特殊な世界のことだと感じられているのではないでしょうか。以前の私もそうでした。大学卒業後7年間、私はあるメーカー企業でマーケティングの仕事に従事しておりました。その当時、私の周囲には非営利団体で働く人は1人もいませんでした。ましてや、自分が将来、彼らを応援するビジネスを立ち上げることになることなど、考えたこともありません。ですが、実際にNPO/NGOの世界に関わってみると、意外にもビジネスの世界との共通点でいっぱいだということに気づかされました。

非営利団体支援の分野で世界一の品質を目指す

バリオーサでは、NPO/NGO業界を応援する際にビジネスのスキルを積極的に活用しています。特に力を入れているのは、広報マーケティングの分野です。世界で今起きている問題やその解決策を伝え、市民に賛同と行動を呼びかけるために、研修やキャンペーンの運営などをおこなっていくのです。

shakehands_nakayamaNPO/NGOは、多くの場合、その活動の受益者である人権を侵害されている人々、医療を受けられない人々、そして地球環境そのものからお金を受け取ることはありません。その代わり活動資金を個人や企業、政府に求めるのですが、彼らに直接的なサービスを提供するわけではないので、団体が持つ解決策に共感していただき、その上で資金を出していただく必要があるのです。その意味でNPO/NGOの資金獲得は、サービスの受益者がお金を払ってくださる一般的な販売活動よりも難しい面さえあり、高いスキルとノウハウが要求されるのです。創業して3年になりますが、弊社ではお客様であるNPO/NGOと一緒に、今でも毎日試行錯誤を続けています。

「日本の消費者は世界一厳しい。だから日本の消費者に受け入れてもらえる商品やサービスを開発すれば海外でも通用する。」という話を聞いたことがありますよね。非営利団体への支援者という観点からも、日本人は世界一厳しいと実感しています。だからこそ、この厳しい日本で頑張り続ければ、非営利団体支援の分野で世界一のノウハウと仕組みをつくることができると信じて、日々の仕事に取り組んでいます。

大先輩の教え

会社員時代、新人研修の一環として南アフリカ共和国の販売子会社に7ヶ月間派遣されました。当時、私は右も左も分からない若造です。そこでの研修は非常にハードで、物流分野について勉強するように言われた研修では、毎朝5時半に起きて7時から始まる会議の資料を用意し、夜は倉庫や配送センターからの発送作業を見届けてから深夜に帰宅する、というものでした。ただでさえ治安が悪い南アフリカの中でも特に倉庫がある地区の治安は良くありません。1人で車を運転する深夜の帰り道は緊張感いっぱいでした。疲れに負けて仕事をさぼり、日本に強制帰国させられそうになったこともあります。新人であっても、高い費用をかけて日本から来ているのだから、質の高い仕事をしなくてはいけないことを強く意識させられました。

その当時お世話になった現地販売会社の日本人社長は、信じられないくらいのバイタリティに溢れる方でした。小売店の視察では現地人スタッフの先頭を切って歩き回り、ついて行くだけで大変です。倉庫からの発送では、商品一つの配送ミスも許しません。そんな社長に、研修中のある日、テレビなどの電機製品を販売する仕事の醍醐味について質問したことがあります。イラン革命を現地駐在員として経験しているその大先輩からは、人々がテレビやラジオなどを通じて外国の情報を入手できるようになったことが、ソ連や東欧諸国の社会主義体制の崩壊などの社会の変化に大きく影響していること、そして日々の売上の積み重ねが社会の変化の原動力になることを、教えていただきました。

彼にとって仕事の目的は自分の中ではなく社会にあり、その意識もモチベーションも単に商品を売るといったことではありませんでした。その大先輩は定年退職後の今も現地に残り、南アと日本の両国でNPOを立ち上げ、日本で廃車になった移動図書館車を輸出して図書とともに寄贈し、子どもたちの識字率向上をめざしています。当時は気づきませんでしたが、今になって振り返ると、南アフリカでの新人研修は、私が社会というものを意識し、社会への貢献というテーマに挑戦したいと考えたきっかけです。

会社員からNGOボランティアへ

amnesty_nakayama2005年の夏、社会貢献をテーマに仕事をしたいと考えて会社を退職しました。ですが、自分が何をすべきか、すぐには分かりません。とにかく行動と考え、まずはボランティアとしてNPO/NGOの世界に飛び込んでみたのです。

最初はひたすら報告書の翻訳や、海外からのゲストの付き添いなどNPO/NGOの活動に関わり、実務を経験することに集中しました。しかし、時間の経過と共に職員さんやボランティアさんが働いている様子を見ていてあることに気づきました。一つが、開発、人権、環境といった分野には既に多くの専門家がおり、これらの分野の専門家ではない自分がその分野の役に立てる余地は残念ながらほとんどないこと。もう一つは、組織運営、特に資金調達に頭を悩ませている団体が多く、そのために実現できないプロジェクトが多くあることでした。原因の一つに、NPO/NGO業界にはビジネスのスキルを持った人材が少ないということがあるようです。

そこで私は、自分の得意分野を活かして、団体の広報マーケティング活動について分析し、支援者の輪を広げるための提言や、活動資金を調達するための提言をまとめてみました。すると、他のボランティア業務をした時よりも団体の方に喜んでいただけるのです。その時、自分の活路が少し見えた気がしました。

全ての企業がソーシャルビジネス

ここ数年、社会企業、ソーシャルビジネスといった言葉を頻繁に聞くようになりました。私は、この社会企業という言葉があまり好きではありません。というのは、そもそも企業は社会のために存在すべきものだと考えるからです。わざわざ社会企業という言葉を使うことで、”社会”とつかない企業は社会に貢献する存在ではない、といった考えが育ってしまうことを危惧しています。

私の仕事は、”世界で今起きている問題とその解決策”という情報を伝え、行動を呼びかけること、そのための仕組みをつくることです。情報そのものを提供するのか、情報を得るための道具を提供するのか、という違いこそあれ、情報を行き渡らせることを通じてより良い社会をつくる、という意味では、電機製品の販売を通じて大先輩が体現されていたことと同じなのです。社会貢献という新たな分野にチャレンジするつもりでの転身でしたが、日々働いていると今の仕事と会社員時代の仕事は、実際はほとんど同じだなと感じさせられます。さらには、より良い社会をつくるために活動している限り、社会企業も株式会社もNPO/NGOも、大差はないと思うようになりました。

全ての企業が社会企業となり、財政的な利益よりも社会への利益で自らを判断し、周りから評価される社会が来る日を目指して、明日も働きます。

あなたは日々の仕事を通じて、どんな社会を創っていきたいですか?

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manabu.nakayama中山 学 (なかやま まなぶ)

株式会社バリオーサ代表。企業での7年間の勤務を経て、2006年にバリオーサを設立。現在、コンサルティングや広報マーケティングの分野で非営利団体をお手伝いしている。34歳。


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